君はもういないのか

④

おー。おー。禅僧の托鉢の声が聞こえる。
チリン、チリン。
君は今誰もが向かう故郷への峠道を懸命に昇って行くんだね。
残念ながら僕はついてゆけない。君だけの旅だ。
白装束に草鞋を履いて先導師に導かれ死への旅路を向かっている。
大丈夫そこには先祖の人たちが迎えに来てくれるさ。