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突如冬の名残ような北風が吹き、僕らは桜の嵐に包まれる。 真っ黒な世界。 白い花は一輪も散ることもなくそのまま枝を離れてくるくるとまわる。 音のない世界。 君と僕だけの世界。 過去から未来へくるくるとまわる桜の花。 そして落ちて一枚一枚積もりゆく花。乙女の花。 このままうずもれていきたい。 なだれのように。
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