11. いつでもお前は(青山)

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昨日、部活の後たまたま成瀬に駐輪場で会った。 「あれ?部活の後会うの初めてだね。」 「おぉ。バスケ部も土曜日練習やってたんだな。」 「うん。夏の大会前だからね。もぉヘトヘトだよー。しぶやん厳しいから。」 「俺も疲れたわー。成瀬の家どっち?」 「陽向公園の近くだよ。」 「俺もそっちの方。」 自転車をひきながら並んで歩く。 「あ、杏子がね、青山くんにこれ渡しといてって。」 差し出されたのは、かたティーだった。 「この前、購買部で青山くんに嫌な思いさせちゃったこと、謝っといてって。」 あー思い出した。 「あの時の橘、マジ怖かったんだよ。」 「あはは。杏子ね、かたティー大好きなの。だからちょっときつい態度とっちゃったんだと思う。ほんとはツンデレで可愛いんだから。この前なんか・・・」 こいつと話すようになってから約1ヶ月。 わかったことがある。 ①友達思い 「明日試合なんだよね?杏子と応援行くから、がんばってね!」 「俺、出るかわかんねーぞ。響は多分出るけど。」 ②頑張り屋 ③バスケが好き ④意外と天然 そして・・・ 「でも可能性0じゃないでしょ?毎日自主練がんばってるもん。きっとチャンスあるよ。」 ほら、まただ。 いつでも欲しい言葉をくれる。 俺はそんなお前がいつのまにか・・・ 陽向公園の前を横切る。 砂浜の文字が頭をよぎる。 そして思い出す。 だけどこいつは、 響のことが好きなんだ・・・。
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