親の脛にバターは塗れない

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「いやまじ卍、ありえんみが深い」 鍛冶屋さんにお手紙を無事渡した後、もうフラグとか立っちゃってるからとりあえず早く帰りたい。その一心で走っていた。 そう、僕は走っていたのだ。 「うおおあわあたあわあ速い速い速い速い速いッッッッ」 気がつくと後ろには犬の群れ。というか犬の魔物の群れ。魔犬というそうな。めでたしめでたし。 魔剣だったらいいのにね! 腐ってないだけまだマシというものか、彼ら魔物は大気中の魔素や地中の魔素などから時間をかけて自然発生するもので、それらは近くにいたものの形を記憶し自らをかたどる。 つまるところ彼ら魔犬は、近くにいた犬の形を覚えた魔素が魔犬になってなんかその魔犬の形を覚えた魔素が魔犬になったみたいな感じで群れをなしているらしいのだ。 自然ってしゅごい。 その自然の摂理に任せて産まれたこいつらは僕を食わんとばかりに追いかけてきている、というかこれ絶対食べようとしてますねうん。 もうヨダレだっらだらじゃん!だっらだら! やめてくんない? 日本生まれ日本育ちの僕とはいえど、まあ10年もこっちに住んでいればある程度の耐性はつくもので、実はそんなに焦ることもなく街道を全力疾走していた。 もちろんふつうに走っていては追いつかれるのは必須である。 彼ら魔物は通常の生物よりそのポテンシャルが高い。 例えばこの魔犬、普通の犬、というかこいつらが象っている犬とくらべてもそのポテンシャルは2倍以上はあるだろう。 そういわれると走る速さ2倍!噛む力2倍!と勘違いしてしまいそうになるよね。なんか単純にそういうわけでもないらしいですよ。 走る速さ1.2倍!噛む力1.3倍!視力1.4倍!とか色々含めて総合的に2倍!みたいな感じらしい。 なんか難しそうな本に書いてあったのを父さんの部屋で読んだのを覚えている。
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