親の脛にバターは塗れない

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それでもわずか10歳の少年がそんな化け物から走って逃げられるほど僕の身体はマッチョではない。 ショタマッチョ。一体どのジャンルに受けるというのであろうか。 何を隠そう、僕のスキル、読めないけどなんかあれ的なやつのおかげで逃げおうせているのだ。 これすごい。読めないけど。 このスキル基本はなんでもできるらしい。読めないけど。 このスキルを授かったと自覚してから色々試してはみたが、その内容がわかってからは、まさにチート。チート中のチート。圧倒的チートッッ!!! 読めないけど。 おそらくこれは本当になんだってできるのだろう。新しく生命を作ることも、誰かを殺すことも、簡単にできるのだと思う。 「この石を砕きたい」 そうスキルの力を持ってして願えば、目の前の石は呆気なく砕ける。なんの前兆もなく。パリ、と砕けるのだ。 しかし!!!人生そんなに甘くはない! それには対価が必要だった。以前何も考えずに石を砕いた僕は不意打ちのように『それ』に襲われた。 眩暈。 そう、眩暈である。眩暈一回。これが石を砕く対価であった。 「え?ちょろくない?」 激甘ァァアーーーーーッッッッ!!! それは僕の人生安泰決定の瞬間であった。 それ以降は色々と試してみた。自分の体の限界、または能力の限界がくるまで試してみることにした。 そして能力の限界が来る前に体の限界がやってきた。 それはスキルで石を消した瞬間だった。 砕くでも粉々にするでもなく、消す。消滅させたのだ、この世から、物質を。 それはそれ相応の対価を持って支払われた。 ーーー左小指の剥離骨折。 ーーこれつかえばかっこいいと思ってるやついるよね。 ーーーーわからんこともない。 ーーーーーーーー楽しいもんな。 そんなことより剥離骨折だ。え、かるくね?と思うだろうがこれがなかなか痛い。 そしてまだ石が無機物だったこととサイズが5センチほどだったことが幸いした。 これがたぶん大型の生き物であったとしたら腕は持っていかれていたし、もしかしたら妹が鎧に身を包んでいたかもしれない。実写化やめてください。
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