親の脛にバターは塗れない

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いやいや腕が消し飛んだってスキルで治せばええやん!と思ってた時期が僕にもありました。 どうやらそれは不可能のようで、スキルの対価によって痛めた指をスキルによって治そうとしたのだが、一向に効果は現れず対価も支払われなかった。 つまりこのスキルで失ったものはスキルでは戻ってこないということだ。 自然には治癒したのでめっちゃ安心した。おれ一生剥離骨折したまま過ごすのかと思ったもん。 あだ名が剥離骨折とか絶対嫌。 そんなこんなで魔犬の群れから逃げ切り、西門へと駆け込んだ僕は魔犬撃退を衛兵さんに任せてギルドへと向かう。 「っ、いっった、え?いった、痛」 スキルによって自身の筋力を補正していたのだが、どうやら対価として、中指と薬指のささくれが支払われたらしい。これ地味に痛い。 ささくれは親不孝だなんてよく言いますね。 やめてよ、、またフラグ立っちゃって困る、、、 めくれ上がらないように出来たばかりのささくれを歯で噛みちぎり、ペッペしておく。 「ようレミル!魔犬と友達になれたみたいでなによりだよ」 通りすがりの顔見知りのおっちゃんに皮肉を言われたので、「友達なんて産まれてこのかたいませんよ」と返しにくい辛いジョークで返しておいた。 自虐は鈍器なり。 おっちゃんは苦笑いで受け流したあと、軽く会釈してその場を去った。
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