ワンピースの女の子

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
これは僕がたまたま立ち寄った海で見た話しだ。白いワンピースを着た少女が海へ足をつける。海は冷たく、足から凍りそうなほどだ。少女はそんなことなどまるでないというかのように、そのまま沖へと向かい歩を進める。膝のあたりまで水が来たところで少女は足を止めた。もしや自殺するのでは?とここでようやく思い当たり、声をかける。しかしまるでその声は聞こえていないとでも言うようで、少女はそのままぼんやりと海の沖を見ていた。今思えば、2月の海にワンピース一枚で着ている自体おかしいと気がつくべきだったのだ。急にとぷんと音がしたかと思えば、少女の姿は消え、そこには何の変哲もない海がそこに広がるだけだ。やはり溺れたのかもと海に入ったが、そこには人影なんてどこを探してもない。それから何時間かたっても彼女が僕の前に現れることはなかった。彼女は一体何者だったのだろう。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!