妖怪の話

2/12
前へ
/12ページ
次へ
結婚して2年目、旦那が今の仕事をやめて、別のことをしたいというので、それは楽しそうと喜んで賛成した。旦那は新しい仕事の見習いで忙しいし、子どもが出来るまで、バイトでもしようと思っていたとき、ふと、町で看板をみつけた。 からだに優しい緑のジュース からだに優しい店 ライフ 雰囲気は、どこか怪しげな薬屋だった。 「いらっしゃーい!」 色黒のやせた背の高い50代の男性がいて、バンダナを頭に巻いていた。冷蔵庫が店の中にあり、缶ジュースらしき商品が陳列されていた。特別で、からだにいい物だけ与えられた土から生まれた、特別空気のきれいな常夏の島の、そこにしかない青緑の実のジュースを缶につめてあるそうだ。毒々しい青緑の色をしていたが、身体に良いと言う事で半ダース、購入した。他にも、普通の薬局ではみかけないパッケージの商品がならんでいた。外国製のものも多くあった。 「いらっしゃーい!」奥から、40代の女性が現れて、微笑み、応対してくれた。 小柄でふくよかで、髪は左右二つの三つ編みをし、目がキラキラとして、人を引きつけるような何かがあった。 「どこから来られたの?新しいお仕事、素敵ね!夢があるわ!」そんな話しをした。 男性の店主らしき人は、 「失礼。」 といって、一見して高級なパッケージの煙草を一服吸いながら、店内の椅子に座った。     
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加