海の向こうから

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「うん。 久しぶり。 これ、トラヤの水ようかん。 好きでしょ?」 「ありがとうねぇ」 また目がなくなってしまったひい婆ちゃんに笑いながら、備え付けの冷蔵庫に持ってきた水ようかんをしまった。 「勇人さんは元気ね?」 「あー、うん。 ……それよりひい婆ちゃん、聞いてよ。 実家に寄ったらお母さんたらさー」 誤魔化すように笑って話題を変え、ひい婆ちゃんの傍に椅子を引き寄せて座る。 ひい婆ちゃんが何度か連れてきた彼のことを気に入っているのは知っているが、いまは話題にしたくない。   最近、日向子ちゃん――母のことだ――がショールを編んでくれたとか、今度入った職員の男の子が可愛いとか。 まるで乙女のように目をきらきらさせて話すひい婆ちゃんは可愛い。 お陰で少し気が紛れて、来てよかったと思う。
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