海の向こうから

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「ひい婆ちゃん?」 ひい婆ちゃんがなにを云っているのかわからない。 けれど、ひい婆ちゃんはまっすぐに、水平線の向こうを見ていた。 「あの人も帰ってきたから」 私を見上げて笑ったひい婆ちゃんは、まるで愛に生きる若い女性のように見えた。   疲れたとひい婆ちゃんは部屋に戻ると眠ってしまった。 その寝顔にまた来ると告げ、老人ホームを出る。 ……あの人。 ひい婆ちゃんの云うあの人とは誰なんだろう。   翌週、またひい婆ちゃんの元を訪ねてみた。 「これ、枇杷のゼリー。 おいしそうだったから」 「ありがとうねぇ」
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