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いますぐ食べると云うからスプーンと一緒に渡し、私も椅子に座る。
「ひい婆ちゃん。
このあいだ来たとき、話したこと覚えてる?」
「なんの話だったかねぇ」
年が年だし、先週の話なんか覚えてないか。
「待ってる人は海の向こうから帰ってくる、あの人も帰ってきた、って」
「そんな話、したかねぇ」
「あの人って、誰?」
……はぁーっ。
ひい婆ちゃんはため息をつくとテーブルの上にゼリーのカップとスプーンを置いた。
「この話は誰にもしないつもりだったんだがねぇ」
淋しそうに笑ったひい婆ちゃんは、まるで独り言みたいに話しだした。
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