-独占の権利-

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ある日の朝餉の席である一人の男がこう言った。 「ハァ…此処には桔梗ちゃんみたいな別嬪がいるのに何でこんなむさ苦しい奴等と飯食わねぇといけねぇんだよ」 味噌汁を啜りながらそう零したのは副長助勤の原田左之助。 「左之さん…そう思ってるの左之さんだけじゃないよ、ねぇぱっつぁん?」 原田の隣に座っている藤堂はまた隣に座っている永倉に同意を求めた。 「あぁ、俺だってお前達の顔見て飯食うより桔梗の顔見て食いてぇ…二人で出掛けてぇな」 「ぱっつぁんそれもう意味違って来るよね!?」 永倉は他の隊士に茶を注いでいる桔梗を見つめそう言い藤堂はそんな永倉に盛大なつっこみを入れていた。 そしてつまらなさそうな顔をしていた原田は急に目を輝かせ口角を上げた。 「じゃあ、俺明日非番だから桔梗ちゃんと二人で出掛ける事にするぜ!」 「「あ?」」 そんな原田に藤堂と永倉は睨みを効かせ凄んだ。原田は少し小さくなるとある事を提案した。 「そ、それならこれでどうだ?何かしらの勝負をして勝った奴が明日一日桔梗ちゃんを独占できる!もし新八や平助が勝てば俺の非番とお前達の隊務代わってやるよ!お前等が勝てばな?」 「言ったな左之ッ!男に二言は無ぇな?俺は参加するぜ。」 「僕も!左之さんたまにはいい事言うね。」 その提案を永倉と藤堂を二つ返事で了承した。 そして機嫌が良くなった三馬鹿は大きな声で勝負の事を話していた。すると…… 「左之さーん?何か桔梗さんとか勝負とか一日独占とか聞こえてきたんですけど?勿論僕も参加しますよ!」 その声につられてやって来たのは満面の笑みの沖田だった。
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