-独占の権利-

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「「「「…」」」」 その音に食事をしていた隊士達の動きも止まり広間は静まり返った。桔梗は二人に同時に手を離されたことにより顔から床にダイブした。 「新八、総司!何してやがんだ!?」 「うわぁ…痛そう」 原田と藤堂は沖田と永倉を睨みつけるが当の本人達は固まったまま動かない。 「…上原大事無いか?」 斎藤はすぐに桔梗に駆け寄り桔梗を起こし顔を覗き込む。桔梗の顔は少し畳の跡がついており赤くなっていた。 「うぅ…痛いです…。少し冷やしてきます…」 「……俺も行こう」 桔梗が鼻を抑え斎藤と共に広間から出ていく中広間では沖田と永倉がまた喧嘩をしていた。 「何故急に離したんですか!?早く桔梗さんに謝ってください!」 「元はと言えばお前があんなに強く引っ張るからだろうがッ!」 そして案の定鬼の雷が落ちた。 「いい加減にしやがれぇッ!!!!てめぇら二人副長執務室に来い。」 ドスドスと足音をたてて広間から出ていく鬼の後を二人は睨み合いながらついて行く。 「達者でな~」 その様子をみて原田と藤堂は笑いながら手を振る。すると土方達の後を追うように山南も広間から出ていこうとした。 「あれ?山南さんも行くの?」 「えぇ。少し桔梗の様子を見がてら総司達の話も聞きたいと思いまして。」 ニンマリと笑いその場から立ち去る山南の笑顔を見た二人は背筋がひんやりと冷たくなった。 「ね、ねぇ、左之さん?山南さん怒ってた…よね?」 「怒ってたな…。怖ぇ」 原田と藤堂は沖田と永倉を心の中で惜しむとまた食事を再開した。
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