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確かに、大和の言っていることは当たっている。
私が大和の立場なら、何時までも自分のことを思って塞いでいて欲しくはない。
忘れられることは悲しいけど、大和が幸せに生きているならそれでいいと思う。
「大和。私、大和のこと絶対に忘れたりしない。ずっと好きな気持ちも忘れない。でも、大和に心配かけないように生きてくよ。大和の分も幸せに生きていく。」
「うん。それでこそ、僕の好きな麗ちゃんだ。また明日も、ここに来て。その次の日も、そのまた次の日も。僕に会えなくても、ここに来てくれたら嬉しい。」
「うん、来るよ。1人でも、来るからね。」
私たちは見つめ合い、再び唇を重ねた。
何度も何度も、別れを惜しむように…。
「麗ちゃん?こんなところにいた。皆ぁ~、麗ちゃんここにいた~!」
息を切らせて同級生の女の子が岩の上に登ってきたときには、もう大和の姿はなくなっていた。
「麗ちゃん?泣いてるの?大丈夫?」
心配そうに顔を覗き込む同級生に、手のひらで涙を拭って笑顔を見せた。
「大丈夫。もう、本当に大丈夫だから。明日も、皆と一緒にここに来よう。明日は、私も泳ぐから。」
「え…。う、うん。うん!明日も一緒に海に来よう!じゃあ、もう下りよう?麗ちゃん突然いなくなったから、皆心配してるよ。」
「ごめんね。」
先に岩場を下りる同級生。
私は立ち止まり、海の方を見た。
「大和、また明日。」
ペアリングを握りしめ、呟く。
明日は大和の家に行って、お線香をあげに行こう。
そして花でも買って、海に来よう。
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