思い出の海で

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大和は私の首から下がっている自分の指輪に触れながら、あの日のことを教えてくれた。 「指輪なんか…。指輪なんか、拾わなくて良かったのにっ。指輪なんか無くしていいから、大和に生きててほしかった!」 泣きながらそう言った私の涙を優しく拭って、ソッと抱き寄せた大和。 「うん、僕も生きていたかった。バカなことしたって、ずっとずっと後悔してる。大好きな人たちをこんなに傷つけて、戻れるならあの日に戻ってやり直したいよ。」 抱きしめる腕に力が入り、大和の後悔を感じとることができた。 私は大和を抱きしめ返し、頭を撫でた。 すると大和は少し体を離し、私の唇にキスを落とした。 「僕ね、どうしてももう一度、麗ちゃんに会いたかった。会って、直接伝えたいことがあったんだ。だから何度も何度も麗ちゃんに会いたいって願って、ずっとここで麗ちゃんのこと待ってた。けど、麗ちゃんあの日からここに来てくれなくて、3年も待っちゃった。」 「伝えたいこと?」 「うん。僕ね、麗ちゃんのこと大好きだよ。」 私の大好きだった大和の笑顔が目の前にあった。 大和に『麗ちゃん』って呼ばれるのが大好きだった。 キスした後に、照れて笑う姿が大好きだった。 大和のすべてが大好きだった。 「麗ちゃん、泣かないで。僕、麗ちゃんの笑った顔が好きなんだ。だから、麗ちゃんにはいつも笑っててほしい。」 「私も、大和の笑顔が大好き…。」 そう言って、涙を流しながら笑った。 「麗ちゃん、大好き。出会った日からずっと好きで、これからもずっとずっと愛してるよ。だから、もう前に進んで。」 「えっ?どういう、こと?」 「麗ちゃんが僕のことを思ってくれるのは嬉しいけど、僕はもう死んでる。僕がどんなに麗ちゃんのことを愛してても、もう隣にいることはできない。麗ちゃんを幸せにしたいけど、僕には無理だ。だからね、麗ちゃんは麗ちゃんの人生を生きて幸せになってほしい。」 「そんなこと、できないよ。」 「麗ちゃんが僕の立場だったらどうする?ずっと麗ちゃんのことを思って立ち止まったままだったら、麗ちゃん『いつまで立ち止まってるの!前向いて生きなさい!』って言うんじゃない?」
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