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「…っ」
ギシ…ッと悪戯に軋んだベッド。不意をついて引き寄せられたせいで、俺は小春さんに覆い被さるような体勢となる。
思いがけずぶつかりそうになった唇は、彼女の両脇に手をつくことで何とか堪えた。
すると彼女は俺の首を抱いたまま「残念」と、甘く目を細くする。
「もうちょっとで出来そうだったのに。キス」
「な…っ、いいいいきなり何するんですか!?」
「何って、思いきり言えてませんけど」
「…~~ッ」
こてん、と首を傾げる小春さん。
あぁもう!
あぁもうっ!!
「ただいま…っ」
なんかいろいろと耐えられそうになかった俺は、そのまま身体を倒して唇をくっつけた。
駆り立てられる衝動のまま唇を重ねれば、薄っすらと目を開けた小春さんは"もっと…"といわんばかりに甘い吐息を漏らす。
その甘美な誘いに翻弄されてしまった俺は、ベッドに横たえる身体をギュッと抱き締めた。
俺としてはかなり踏み込んだ行為だったのだが、でも小春さん的にはどうも違ったらしい。
「夏生さん…」
小春さんは"ふぅ"と息を吐くと、諦めたように俺の名前を呼んだ。
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