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答えは期待していなかった。
集中しているときの梓は周りからの雑音をシャットアウトするかのように、自分の世界に入っているからだ。
あたしもシカトされたからといって、いちいち喚くようなことはしない。梓の仕事に対する姿勢はむしろ尊敬に値する。だから返ってこない返事もそのまま放っておいた。
またそのうち聞けばいっか、くらいに留めて。
「気になりますか?」
しかし、返された返事にあたしのほうが驚かされた。
まさか言葉のキャッチボールが成立するとは思わなかったからだ。
思わず卵をかき混ぜていた手を止めると、仕事用にかけていた眼鏡をテーブルの上に置いた梓は「水」と、あたしを手招く。
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