事件:終わりの朝

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 『殺人鬼による凶行、7人目の被害者が』  太い文字でそう書かれたニュースのテロップを目に、僕はパンを齧った。   アナウンサ-が事件のあらましを解説し、犯行現場付近に住む市民へのインタビューという彼らが当たり障りも無い事を話すだけの意味の無い映像が続いて流れ、犯罪心理学者だと言う太った中年がそれっぽい言葉で綺麗に纏めてこのニュースは終わった。  事件現場の映像は一切報道されなかった。  ―――初めて”事件”が起こったのは2週間前。N県にて深夜に残業を終えて帰宅途中であった50代のサラリーマンが刃物で惨殺された。警察は殺人事件としてこれを捜査するも、捜査が進展を見せるよりも早い3日後に300km以上離れた別の県で30代の主婦が同様の手法で殺害された。  そして今日まで、対策本部を立てた警察が幾つかの情報の発見を公開するだけの2週間に7人が死んだ。殺害された場所も、個人個人の関連性も一切ない、完全な無差別殺人としてこの事件は扱われている。  僕は興味の無くなったテレビを消し、ナイフを仕事用の鞄に仕舞ってビジネスホテルの部屋を出た。
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