終わる途中の始まり。

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「俺はまだ来てまだ一日だが、ドアの前に皿が置いてあった部屋は見たことがない、素晴らしい回収速度だな。見ることも拝めない。」 ナースの方は黙ったかと思えば電話で人を呼び出した。 「すみませんが至急来てくれますか?なにやら苦情の声が上がっておりまして。はい。お願いします。」 「責任者でも呼んだのかい?」 「はい、問題は解消できるでしょう。」 ナースの顔は勝ち誇った顔だ。あいつは携帯で音楽を聴きながら笑っている。 そしてドアが開いた。 「どちらが苦情を?」 「康太さんです。」 ナースはあいつを指さす、康太って言うんだ。 あいつはイヤホンを抜いて答える。 「すみませんね、わざわざ来てもらって。」 「それで内容は何だね?」 「そこのナース含めた数人でその子の悪口を言っているんですよ。」 責任者の顔から怒りが見える。ナースの顔は一変した。 「証拠はあるのかね?」 「ありますよ。」 そう言ってあいつは携帯の音量を最大にして音声を流す。 そこには名出しで私を馬鹿にする声とあいつに同情する声が入っていた。 「これ録ったの今日の朝なんですよね。」 あいつは録音時刻を見せつける、ドアに手を掛けるナースを責任者は止める。 「それにここだけドア前に皿を置かせていましたよ、そいつら。」 責任者は無言で佇む。ナースの青い顔とは正反対の顔をしている。 「こいつは話してみればわかりますが、そんな事をされるような悪い奴じゃないし意思疎通が図れない奴でもない、俺が保証する。」 あいつはたかが一日で何が分かったのか。 「すまなかった、私の管理体制がどれだけ怠られていたか思い知らされた。これからはこんなことが起こらないようにして見せる。」 「本当か?」 「本当だ。」 あいつは笑顔で言い放つ。 「なら大丈夫だな。」 責任者がナースを引き連れて出ていったその後。 「俺ならこうする。」 何のことかわからない。 「どういうことですか?」 「俺は耐えるとか受け入れるとか無理だ。だから勝てる手段で勝つ、現実を変えるほうが楽だ。」 「それって難しくないですか?」 「俺からすれば耐える方が難しい、自分を抑え込むなんて柄じゃない、だからお前さんは凄い。」 何もしてないことが凄いわけない。 そう思い今日は眠った、いつになく快眠だった。いびきはうるさい。 次の日、ナースは全員入れ替わっていた。
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