第2幕

5/9
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/152ページ
「君には隠し立てできないな」 声のトーンを落とし、『世界仰天一座』で見た光景を話す。 瓶詰にされたマンドラゴラ。日本という極東の島国から伝わったとされる目もくらむような刀。色とりどりの南国のオウムたち。鎖につながれた熊。 「こういう展示物は興味深かったよ。ま、どこまで本当かは分からんが」 いったん話を区切って、ワインを飲み干した。 「確かに面白そうな展示品だな。今度は二人で『ダーティ・ディック亭』でも行ってみるか?」 『ダーティ・ディック亭』とはミドルエセックスにあるパブだ。そこには骨や死んだネコ、蜘蛛の巣など、一風変わった展示品に囲まれて一杯やれると人気があるそうだ。 「でも、君が話したいことは別にあるんだろう?」 ボーイにシャンパンを注文しながら、我が親友は合いの手をいれた。 「吸血鬼の少女が見世物にされていてね」 ボーイが注文を受け、退出したのを見計らって本題を話す。
/152ページ

最初のコメントを投稿しよう!