第2幕

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シャンデリアの蝋燭がぼたり、とテーブルに垂れた。 もう夜も遅い。 「では、お開きとしますか。我が親友にしてライバル」 トーマスが空のシャンパングラスを近づける。 「面白い話が沢山聞けて、有意義な時間だったよ」 俺もシャンパングラスを傾け、剣と剣がぶつかり合うように、カン、と音を出した。 「僕も面白い話が聞けた」 前もって呼んだのだろう。玄関口の近くに停まった馬車に乗りつつ、トーマスがつぶやいた。 「マダム・タッソーの人間が実在するなんてな」
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