9人が本棚に入れています
本棚に追加
陽光がわたしを刺す。
生きながら煉獄に落とされたようだ。
眼を開けていられない。まぶたを閉じても、目の前が真っ赤に染まる。
涙が次々とこぼれる。
赤いナイフから身をよじるたびに、観衆から卑猥な冷やかしや、ひゅうという指笛が鳴らされる。
「さあさあ、近くに寄ってご覧あれ。世にも珍しい生きた吸血鬼。カーミラの子孫ですぞ」
支配人(ボス)が声を張り上げる。チャリン、チャリンというコインの音。恐らくチップが投げ入れられたのだろう。
半ズボンに薄手のスモック一枚。
恥辱極まりない恰好。でも、太陽の前に引きずり出されると、そんなことはどうでもよくなってしまう。とにかく全身を焼かれる苦しみから逃れたい一心で、わたしは鉄檻の中で右へ左へ逃げ惑う。
「では十字架を入れてみましょう」
ボスが愉快そうな声をあげ、聴衆が次々とコールする。
じゃりん、とコインとは違った音がする。わたしの傍へ、格子の隙間から何か大きな金属が投げ込まれたみたいだ。
最初のコメントを投稿しよう!