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━━銀狼。 コイツは俺の使徒らしいが、自分の方が一枚も二枚もうわてだと思っているらしい。 神のいる山に行くとコイツと喋ることが出来る。 俺はたまに出掛けて行って沢山の話を聞いた。 死んだ家族の話。 俺たちは不幸な出来事が起きるまではとても幸せな家族だった。まだ小さすぎて何も覚えていない俺は、初めて聞く家族のエピソードに笑ったりしんみりしたり。 家族の笑顔を思い出し、勇気を貰っていた。 人と人との出会いの話。 偶然に思える出会い。でもそれは運命らしい。 運命によって出会ったからと言って、結果が決まっているわけではない。絆をどのように持てるかでその後が変わるという。 揺るぎ無い信頼で結ばれることも、行きずりに笑顔を交わすだけのことも、そしてお互いに憎悪を剥き出しにするような関係になることもあるという。 どんな人との出会いも大切にしようと思う。 人との絆が自分の運命を変え、その運命が更に絆を作ると身をもって学んだから。 銀狼は滔々(とうとう)と俺に説教をたれて満足げだ。
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