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遠くの方で、小さな魚が一匹。その身を精一杯に動かして跳ねあがりました。
小さな体に似合わぬ力強さにより舞い上がった水飛沫は、彼を応援しているようでした。
私にはわかります。あの小魚は今だから跳ねたのでしょう。
小魚の勇気に押されて私も。勢いをつけて水中を進み、外の光目指して跳ね上がります。
外へ飛び出したほんの一瞬。この身に風が突き刺さり、眩しい光が私を包み隠しました。海に囚われ引っ張られるように水中へ戻ると、水飛沫が生まれます。
喋ることも歩くこともできぬ私たちは、こうすることでしか、彼の不安を拭えないのです。
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