辰男~貴方のために~

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辰男~貴方のために~

「我々はこういった官能小説を求めてるわけではないんですよ?」  編集マンから辛辣な言葉を投げつけられた。  その事実をエッセイにしようと思い立った。  死ね! 「ハァ?エロティックなのを求めてるわけではなかったたのですか?」  間違えた!手が疲れてる!  もう、いいや!やってらんねぇや!  エロビでも見ようかな?  ワープロを閉じた。  テレビデオに《貴方のために》って曖昧なタイトルなエロビを入れた。TATUYAで借りたレンタルビデオだ。  TATUYAは名古屋駅の前にある。 「彼女と見るような甘いラブロマンスない?」 「お客さん?お客さん?これなんかどうね?」  アルバイトのリーって兄ちゃんに勧められた。  頬が痩けててヤバい感じがする兄ちゃんだ。 「貴方のためにか?いいね?」 「そうそう?病気で亡くなった真緒って子を献身的に支える感動のストーリー」 「つまり真緒はもう死んでいる?」 「北斗の拳みたいね?そうそう?真緒の幽霊に出会って再び結婚す、するね?ヒェッヒェッ…………」  なんでどもるんだ?ヒェッヒェッ?日本語おかしいぜ? 「俺の顔がそんなにおかしいか?え?確かに俺はカッパみたいな頭してるよ?それでも会社のため、家族のため頑張ってるんだよ?」 「イヤァ、ヒェッヒェッって泣いたんだよ?もう、最後のほ、ほうなんかはパンストなしでは語れない?」 「パッ、パンスト?ハンカチじゃねぇのか?」  昨夜、豊橋にある千里のアパートに出かけた。 「面白そうなビデオ借りてきた」 「アラッ、貴方のために?」  千里があらすじを目で追う。 《病気で亡くなった真緒は幽霊になってまで勇一に会いたかった?感動の実話》  じっ、実話!?マジで?あ~、何かいかがわしいよな?霊感商法とか、アッチ系か? 「うん、夕食のあとに見よう?」 「今日はな~に?」 「マカロニグラタン」  窓の外をライトアップされた路面電車が走る。  冬は車内でおでんが振る舞われる。粋な心意気だ。 「『長男の嫁』見てからでいいよね?」 「うん」  千里の作るマカロニグラタンはチョベリグだった。『長男の嫁』を見終え、シャワーを浴びてパジャマに着替えて寝室に向かう。 『アンッ、アンッ』  喘ぎ声が聞こえてきた。    ドアを開けるなりビンタが飛んできた! 「何なのよ、コレ!?もう、辰男さんなんて最低!」  病室で真緒と辰男が互いに向かい合って腰を振っていた。俺の仕事がバレてしまった!(*_*)

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