episode223 奪い合い①

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「アア……そんな……」 だけど情けなくも 僕にはこれが心地いいんだ。 「出来るだろ?」 王者らしく立ち塞がって まるで当然のように酷い命令を下す。 「出来たらまた犬みたいにいたぶってやるぞ?」 征司は立ち上がると 投げやりにベッドの上に足を乗せた。 「どうした?ご褒美が欲しくないのか?」 「うぅ……」 まだプライドが邪魔をする。 人間として機能している証拠だ。 「せめて殴って言うことを聞かせて下さい……」 恐怖心や支配から屈辱を受け入れるなら それはせめてもの逃げ道だった。 「ダメだ。自分でやるんだ」 「お兄様っ……」 だけどそれすら許されない。 「自分から――喜んで受け入れてるんだって認めろよ」
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