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「ウ……アアッ……」
この場合
涙はなんの意味も持たない。
望んでいるのは僕で
抵抗しているのも僕だからだ。
なんとか身を起こし
四つん這いの体勢をとる間に血の気が引いて
指先まで冷たくなり震える。
征司はそんな僕を見下ろしたまま
微動だにしなかった。
快感の為に屈辱を受け入れるのか。
屈辱を受け入れる事自体快感なのか。
僕という人間を見定めるみたいに――。
やっとのことで
僕は息を詰め征司の足に手を伸ばした。
自分に言い聞かせる。
欲しいんだから今はこれが最善なのだと。
頭を低くして唇を近づけると
ゴクリ――恥ずかしい音を立てて喉が鳴った。
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