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「なあ、そろそろあいつのことは諦めろ」
「お兄様……」
僕の身体を軽々返して
向かい合わせの座位に抱くと
征司はごく自然に口走る。
「貴恵の子が弟の子だと知れた以上――遅かれ早かれあいつはいなくなる」
「イヤッ……」
「現実的に考えろ」
「アアッ……!」
僕の腰をがっちりと抱き寄せて
逃がれられないように征司はきつく打ち込んだ。
「離婚すればあいつが天宮の屋敷にいる理由はない。当然俺はおまえを外に出す気もない」
「そんなっ……」
「口答えしても無駄さ――おまえ言ったろ?俺がおまえからすべて奪おうとしていると」
汗で張り付く僕の髪を梳き
苦悶に歪む顔をうっとりと見つめながら
「思い出せ。昔からゲームの勝者はいつも俺だったろ。ん?」
勝ち誇ったように征司は言って
「イヤァ……アアッ!」
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