episode223 奪い合い①

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「なあ、そろそろあいつのことは諦めろ」 「お兄様……」 僕の身体を軽々返して 向かい合わせの座位に抱くと 征司はごく自然に口走る。 「貴恵の子が弟の子だと知れた以上――遅かれ早かれあいつはいなくなる」 「イヤッ……」 「現実的に考えろ」 「アアッ……!」 僕の腰をがっちりと抱き寄せて 逃がれられないように征司はきつく打ち込んだ。 「離婚すればあいつが天宮の屋敷にいる理由はない。当然俺はおまえを外に出す気もない」 「そんなっ……」 「口答えしても無駄さ――おまえ言ったろ?俺がおまえからすべて奪おうとしていると」 汗で張り付く僕の髪を梳き 苦悶に歪む顔をうっとりと見つめながら 「思い出せ。昔からゲームの勝者はいつも俺だったろ。ん?」 勝ち誇ったように征司は言って 「イヤァ……アアッ!」
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