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元来SとMは
同じ素質を持つと言う。
「すごいっ……お兄様のビクビクしてッ……!」
ならば僕らの間に
勝ち負けは存在しないのだ。
「アア……イクっ……!」
「お兄様っ……約束ですよっ……アアッ……!」
考えるべきは
いかに共存するか――。
「僕も……イキますっ……アアッ!」
僕らはほぼ同時に達した。
「……中が熱い」
奥から溢れ出る征司の欲望と
僕が放ったばかりの欲望を
「いっぱい出たね――グチャグチャだ」
パレットの上の絵の具みたいに
征司の腹の上で掻き混ぜ僕は笑ってやる。
「約束したんだ。戻らなくちゃ――」
「あ、おい!」
そのまま
自分だけそそくさと身繕いして僕は立ち上がった。
「ごきげんよう、お兄様。彼のとこに行く」
「おい、待てよ!」
僕にも譲れないものはある――。
当主の座は渡すけど
九条敬はダメだ。
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