episode223 奪い合い①

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元来SとMは 同じ素質を持つと言う。 「すごいっ……お兄様のビクビクしてッ……!」 ならば僕らの間に 勝ち負けは存在しないのだ。 「アア……イクっ……!」 「お兄様っ……約束ですよっ……アアッ……!」 考えるべきは いかに共存するか――。 「僕も……イキますっ……アアッ!」 僕らはほぼ同時に達した。 「……中が熱い」 奥から溢れ出る征司の欲望と 僕が放ったばかりの欲望を 「いっぱい出たね――グチャグチャだ」 パレットの上の絵の具みたいに 征司の腹の上で掻き混ぜ僕は笑ってやる。 「約束したんだ。戻らなくちゃ――」 「あ、おい!」 そのまま 自分だけそそくさと身繕いして僕は立ち上がった。 「ごきげんよう、お兄様。彼のとこに行く」 「おい、待てよ!」 僕にも譲れないものはある――。 当主の座は渡すけど 九条敬はダメだ。
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