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再び膝に置かれた手に
今度はぐっと力が籠められる。
「また、ご冗談を……」
女の子たちの手前
取り繕ってそう答えるものの。
「僕が知るわけないじゃないですか……」
「ふうん」
見つめられれば
頬はみるみる熱を持って紅潮し
「俺の愛し方を知らないって?」
「し……知りません」
カラカラに渇いた喉からは
かろうじて震える声が出るだけだった。
「残念だ――弟が知ってると思ったんだが。お嬢さんたち、レクチャーはお預けだ」
征司はソファーに身を投げひとしきり笑うと
「今の俺は酔ってるから――何も思い出せそうにないさ」
「ああん、そんな」
「征司様っ……!」
引き留める女の子たちには目もくれず
ふざけ半分反動をつけ席を立った。
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