episode223 奪い合い①

6/30

134人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
「さてと――」 そのまま ぐるりソファーの後ろに回ると。 「失礼」 征司は僕の肩越しに腕を伸ばし 来た時と同じようにしてワイングラスを鷲掴む。 「っ……」 近づけば僕の身体は自然と硬直する。 それを確かめるように 背後からゆっくり上半身を重ね 「来いよ」 「え……」 離れる瞬間 「俺の愛し方――今すぐ思い出させてやるから」 しっとりと湿った声が耳元に囁いた。 「和樹様……?」 ほんの短い間 心臓が止まったかのように締め付けられる。 「あ、ああ……失礼」 ドクンと脈打ち 再び世界を取り戻した後はもう――。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

134人が本棚に入れています
本棚に追加