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「さてと――」
そのまま
ぐるりソファーの後ろに回ると。
「失礼」
征司は僕の肩越しに腕を伸ばし
来た時と同じようにしてワイングラスを鷲掴む。
「っ……」
近づけば僕の身体は自然と硬直する。
それを確かめるように
背後からゆっくり上半身を重ね
「来いよ」
「え……」
離れる瞬間
「俺の愛し方――今すぐ思い出させてやるから」
しっとりと湿った声が耳元に囁いた。
「和樹様……?」
ほんの短い間
心臓が止まったかのように締め付けられる。
「あ、ああ……失礼」
ドクンと脈打ち
再び世界を取り戻した後はもう――。
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