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「僕も行かなくちゃ――」
繋がれて待たされた犬みたいに
あの人の事しか考えられなくなる。
慌てて振り向けば
征司の姿はもうパーティーの喧騒に紛れて。
際立って美しい背中の線が
かろうじて人波に見え隠れするぐらい小さくなっていた。
「あん、和樹様っ……」
「ごめんっ……!」
女の子を突き飛ばすようにして席を立つと
僕は人波をかき分け転がるように征司の後を追った。
そう
いつもと同じ。
後追い――。
身体が疼いた。
燃えるように苦しい。
「和樹――」
こんな時
誰に引き留められたとしても僕は――。
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