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本能が追う。
いくら理屈をつけたって駄目だ。
愛とは別次元で僕を突き動かす。
禁じられればなお貪欲に
いけないと思うほどなお渇望して――。
「来たか、こっちだ」
「よそのお宅のベッドルームですよ?」
「なに、ここの息子には家でも度々部屋を貸してやってる」
薄明かりが漏れる廊下の先で
悪魔はドアを開け僕を手招きした。
「来いよ」
子供を取り込む魔王のように
両腕を広げ
狡猾な目をして。
「入れ――」
迷ってる暇はなかった。
誰に見られるやもしれない。
行きつく先は地獄――。
そんな思いが
ふと頭をよぎるけれど。
あたりを見回すや否や僕はその腕に飛び込んだ。
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