855人が本棚に入れています
本棚に追加
/94ページ
二番目だってことが引っかかっているのか、オヤジに似てるからというのがきっかけってことに引っかかっているのか自分でもよく分からなかった。ただ、どんな理由があったってこのモヤモヤは消えないんだと思う。
それでも、武市ははっきりと俺がいいんだって言ってくれた。少なくとも武市は嘘をつかない。
「……惚れてただけ?」
武市の性格で、惚れて見守っているだけなんて信じられない。案の定、武市がバツの悪そうな顔で笑った。武市の強引な行動が思い起こされる。
「マジ、信じられねぇ……」
親子で武市と寝てたなんて、昼ドラも真っ青な展開じゃねぇか。
「俺の想いには応えてやれねぇけど、セックスくらいは付き合ってやる……だってさ」
武市はどこか寂しそうに笑っていた。オヤジはどういう気持ちで武市と寝たんだろう。もしかして、俺がいたから自重したとかそういうこともあるのかな。俺にそっくりだったオヤジは、やっぱり武市に惚れてたんじゃないだろうか。
同意のうえなら俺がとやかく言うところじゃないんだけど。
いつだって笑ってるとこしか思い出せないオヤジだって、俺のいないところでは悩んだり落ち込んだりしてたんだ。それに寄り添っていたのはきっと武市だ。
「武市はそれでよかったのか?」
「無理だってのは仕方ねぇだろ。まぁくれるもんは貰ったんだし」
最初のコメントを投稿しよう!