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「ありがとう。じゃあ、話すね。私はサッカー部のマネージャーを務めていたんだけど、一部のサッカー部員は私に対してセクハラ紛いの要求をしたり、強要したり、終いには強姦したりしたの」 「ごう、かん」  その言葉が余りに重すぎて、脳内にて一発変換できない。それは、無理矢理ルーコを押し倒したということだろうか。一体、誰が斯様なことをしたのだろうか。名門ゆえに部員が多いことと、まだ入部して間もないために検討がつかない。 「一体、誰が?」 「言っても判らないよ。それに、言っても意味がない。もう教師にも警察にも相談した。結果として、そいつらは退学プラス少年院送りとなった。もう事件は解決してるんだよ」 「そいつらがいなくなったんなら、斯様な事をする必要はなかったんじゃないか? それに、君だって部を辞める必要はないんじゃ?」 「そいつらがいなくなっても、私の記憶は消えない。長田高校サッカー部だって残ったまま。いつ、模倣犯が出るか判らない。いつ、そいつらが戻ってくるか判らない。そういう恐怖、貴男に解る?」  解らない。正確に理解することなどできない。そういう経験を受けた事も、そういう思考を働かせた事もない。 まるで未知だ。強姦というものが。 まるで無知だ。強姦というものに対して。 まるで無力だ。強姦というものを受けた少女に対して。     
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