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「私はサッカー部を辞める。高校も別の所に移る。もう、あいつらの魔手が届かない距離まで逃げる」
そこで、場の空気が一変する。
より重く、
より苦しく、
より辛く、
より苦く、
より痛いものへと変化する。
「逃げるんなら、後を濁すなよ。事件が解決したんなら、事件を発生させるなよ。どこまで自分勝手なんだ、『お前』」
マモルは憤怒していた。
斯様な遣り方でしか自分を慰められない少女を。
斯様な遣り方でしか自分を慰められない少女を生み出した奴らを。
ルーコは信じられないものを見るような目を向ける。
その目には絶望が、
その目には失望が、
その目には失念が、
その目には無念が、
その目には虚無が、
それぞれ映っていた。
「貴男なら解ってくれるかと思ったのに、あーあ、ガッカリ」
「買い被るなよ。自惚れんなよ。お前だって犯人じゃないか。別件の。大きさや重みは違うが、お前だって人に見られたら困ルーコとをしていたんじゃないか。同類だよ、お前もそいつらと。同レベルだよ、お前もそいつらと」
「違う!」
「違わない。何なら、ここで通報してみようか。防水ケータイは雨でも使えるんだぜ?」
「何で、解ってくれないの。私がどれだけ辛い思いをしたか」
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