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「馬鹿な事を。それよりも早く出ていってくれ。お前と話すことは何も無い」
「どうだかな。わざわざこの部屋に泊まって、あんな姿を見せつけるなんて、どう見ても俺に対する嫌がらせだろう?」
「……ああ、そうだ。でもそれは先にお前が僕にした事だ。それをそっくりそのまま返しただけだよ」
「女とヤってるところをわざと見せたからってそんなに憤るなよ。前にも言ったけれど、お前の考えはちょっと異常だぞ? たかが男同士でセックスしたからってあんなの、ただのじゃれあいの延長だろ?」
水無月が黙ったのか、しばらく二人の声が聞こえなくなる。それでも、
「お前にとってはじゃれあいだったかも知れないが、あの頃の僕は本気だったんだ……」
その聞き取りにくい囁き声に胸が締め付けられた。だが、佐竹の笑い声が響いて、
「本気も何も最初から言ってたよな? 俺は女しか相手にしない、だからお前とヤるのは興味本意の遊びだって。お前がそれでもいいって言うから抱いてやったんだろうが」
でも、と反論する水無月の言葉を佐竹は押さえつけて、
「なんで俺から逃げたんだよ? 結婚してもお前との関係は続けてやるって言ったよな? 急にお前が居なくなったから俺は痛くもない腹を周囲に探られて、打ち消すのが大変だったんだ」
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