見上げた先には恋がある

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「俺はね、好きな子はとことん可愛がって甘やかせたいタイプなんだ。ちょっと度が過ぎて女の子からは嫌がられて振られちゃうんだけどね。それと名前を呼び合うのも鉄板だから、馨も今から俺の名前を呼んで」  驚きのままで固まっている馨をベッドに押し倒す。バスローブを大きくはだけ、キスを落としながら腕から袖を引き抜いたところで急に馨は我に返って、 「木崎君、随分キャラが違うよっ!?」 「大河って呼べって。キャラ違いはお互いさまだろ?」  俺の胸を押そうとした馨の手を掴むと、冷たい人さし指を口に含んだ。  わざといやらしい音を立てて、細くて綺麗な指を順番に舐めていく。途端に冷たかった指先はほんのりと温かくなり、馨の吐息も熱を帯び始める。だめ押しするように、チュッと高く指から唇を離すと、横たわる馨は潤んだ瞳で俺を見上げていた。 「俺がこれからもずっと馨を暖めてやるよ」  その瞳を覗き込んで囁いた。瞬間、彼は泣きそうな顔をして、そしてゆっくりと俺に向かって両手を拡げた。俺は彼の細い体を強く抱きしめる。はぁ、と大きく吐息を洩らした馨は、やがて小さく、 「こんなに温かいからこれは夢じゃないんだね……。大河、……好き」  鼓膜を浸透した馨の言葉に、俺の理性は一気に吹き飛んだ。
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