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今日は日曜日で俺は会社が、亮は学校が休みだった。
「そろそろ掃除を兼ねて遺品整理をしよう」という息子の提案をのみ、やってはみたものの辛いのを通り越して苦痛だった。
現実を受け入れる事がまだ出来ていなかった俺は、妻の遺品を捨てるのに泣きそうになっていた。
息子の淡々と作業をこなす姿を見て、アイツはいつの間にか現実を受け入れていたのが分かった。
息子は俺より大人だった。
業者に頼めば良かったと後悔しながらも、朝から始めた作業は夜の7時頃に無事に終了。
晩飯を食って、風呂に入って、リラックスモードに突入した時に、息子が一冊の大学ノートを俺に渡して来た。
無くなったと思っていた、妻の結婚指輪と共に。
俺の驚いた顔に、息子が言った。
「遺品整理の時に見つけた。ちょっとだけ読んだけど、父さんに渡した方がいいと思って」
微笑するその顔が、妻と重なる。
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