ホラーじゃないんだよ?

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ホラーじゃないんだよ?

電話がかかってきた。 深夜2時、この時間に電話がかかってくるのは、珍しいことじゃない。小さなバイク便で働く俺は受付として配車手配も担当もしているベテランライダー。 おっと、これは至急案件だ。 仲間のライダーに一声かけて、電話番を変わってもらう。 さすがに、新人に長距離を任せるには荷が重いだろう。都内だけなら良かったんだが、お得意様の担当者からであれば、依頼を担当するのは俺しかいない。 目的の場所へ朝イチで到着できるようにとのことで、その為の準備をする。 水分補給の為のペットボトルに入った水を、斜め掛けのカバンに入れる。小銭ばかりが増殖する財布に、色褪せた水色のタオル。黒と白のジャケットにヘルメット。 バイクにETCカードは搭載済だ。 夜中の道は混んでいることが少なく走りやすいが、規則を守らないとすぐにパンダが飛んでくる。白と黒の正義を振りかざしているアレだ。  他にも気を付けようとも気を付けることができない奴らがいる。  それは夜中に出没することが多く、恐怖する者が多いのも事実だ。それは、のちほど説明しようと思う。 まずはただちに来てくれという、依頼主である会社の裏口へとなるべく静かにまわった。     
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