色のない私

2/2
前へ
/11ページ
次へ
止める間もなく男子生徒は2つの缶を持って走っていった。 名前調べろ、なにそれ? 一人になった庭で少しだけ考えてみた。私の名前を知っている理由、噂かな。 『人付き合い悪くて気取って、そのせいで一人の女がいる』 私の耳に入るんだし、他のクラスにも知られているでしょ。 それにこれだけが噂じゃない。 援交とか、男遊び激しいとか、中には若い教師に色目つかったなんてのもあったし。 「人気者だね、柚木綾乃サン」 そう呟いて教室に戻ることにした。 次の授業はなんだっけ。なんの授業でも寝ちゃうからあんまり関係ないけど、それでも教科書くらい机に出しておかないと教師に悪い。 教室の掲示板に貼られた時間割を確認、日本史ね。 ロッカーから教科書を出すとチャイムまでまだ5分と少しあったけど、眠ることにした。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加