取り戻した光

1/5
前へ
/11ページ
次へ

取り戻した光

家のベッドで眠ると悪夢を見る。でも学校で寝た場合悪夢どころか夢すら見ない。 7月はテストがあるけど私は眠るのを優先させている。テストなんて教科書と参考書があれば点は取れるものだ。 授業はほぼほぼ必要ない。 4時間中2時間と半分眠って過ごした。さすがに4時間すべて眠りはしない。横になって眠るわけじゃないから体勢が厳しい。時々起こして体をほぐすようにしている。 昼休みはいつものようにまずは自販機、今日は炭酸ジュースにした。そして庭に行くと待ち構えていた奴がいる。智也だ。人の好さそうな顔をして歩み寄ってきた。 「紅茶とコーヒー、どっちがいい?奢りだから遠慮しないで」 「どっちも嫌い」 「うん、知ってる」 知ってるって…コイツ、ストーカーの類?智也はコーヒーの缶を開けて一口飲む。 「夏美が教えてくれた。ゆーちゃんは両方嫌いだって」 「…っ!!」 手から炭酸ジュースの缶が滑り落ちる。そんな私のことを智也の視線はとらえて離さない。 あり得ない…なんで智也の口から…夏美の名前がでるの? 「知らないみたいだね。夏美は俺の彼女」 夏美の彼氏…? 「柚木さんのことも沢山話してくれた。親友なんだ、て嬉しそうな顔して」 一歩一歩、後ろに下がる。 ダメ、ダメ、危険だ… 智也はきっと全部を知って… 逃げないと…! 「ああ逃げないで?俺怖がらせるつもりないし」 「…うそ、だ」 「なんでそう思う?」 「夏美は、夏美は…私のせいで…」 「二度と歩けない体になった、だよね」 「!!!」
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加