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取り戻した光
家のベッドで眠ると悪夢を見る。でも学校で寝た場合悪夢どころか夢すら見ない。
7月はテストがあるけど私は眠るのを優先させている。テストなんて教科書と参考書があれば点は取れるものだ。
授業はほぼほぼ必要ない。
4時間中2時間と半分眠って過ごした。さすがに4時間すべて眠りはしない。横になって眠るわけじゃないから体勢が厳しい。時々起こして体をほぐすようにしている。
昼休みはいつものようにまずは自販機、今日は炭酸ジュースにした。そして庭に行くと待ち構えていた奴がいる。智也だ。人の好さそうな顔をして歩み寄ってきた。
「紅茶とコーヒー、どっちがいい?奢りだから遠慮しないで」
「どっちも嫌い」
「うん、知ってる」
知ってるって…コイツ、ストーカーの類?智也はコーヒーの缶を開けて一口飲む。
「夏美が教えてくれた。ゆーちゃんは両方嫌いだって」
「…っ!!」
手から炭酸ジュースの缶が滑り落ちる。そんな私のことを智也の視線はとらえて離さない。
あり得ない…なんで智也の口から…夏美の名前がでるの?
「知らないみたいだね。夏美は俺の彼女」
夏美の彼氏…?
「柚木さんのことも沢山話してくれた。親友なんだ、て嬉しそうな顔して」
一歩一歩、後ろに下がる。
ダメ、ダメ、危険だ…
智也はきっと全部を知って…
逃げないと…!
「ああ逃げないで?俺怖がらせるつもりないし」
「…うそ、だ」
「なんでそう思う?」
「夏美は、夏美は…私のせいで…」
「二度と歩けない体になった、だよね」
「!!!」
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