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「柚木さんの意見は分かったけど夏美の気持ちはどこにあるの?」
「どこ、て…」
「夏美のやつ最初こそ荒れてたけど今じゃ超元気。それで言うんだよね…」
ちょっと待って、とスマホを操作すると私によこした。画面には『夏美』の表示…!
「で、出られるわけないじゃない!!私は夏美からすべて奪ったんだよ!?」
『もしもし~?ゆーちゃん声デカい』
画面には久しぶりに見る夏美がいる…
「な、なつみ…」
『うん。夏美です。お久しぶり!』
電話越しに夏美は笑顔。でも私は笑顔なんて無理で、涙が止まらない。
「ごめ、ごめん、ごめんなさ…!」
バカみたく1人で謝り続けていると夏美の声がした。
『ゆーちゃんがした悪いことは1つ』
「し、知ってる…夏美から、奪った…」
『そう、私からゆーちゃんを奪ったよね』
「え…?」
『足とかゆーちゃんがいう羽?そんなんどうでもいい。私ゆーちゃんとずっと親友でいたいだけなの』
「そんなこと…!」
『私がなにより大事なのは柚木綾乃。足がなくても車椅子もある。でもゆーちゃんの代わりは?ほら、ない。あ、あと智也から聞けば帰宅部?だっさーい』
「…なつ、み」
『叶えてよ、跳び続けるっていう私の夢をゆーちゃんが。早速今日この電話切ったら陸上部に入部届けだすこと』
「…え?」
『あと会いに来て?ゆーちゃんの顔見れなくて寂しい』
智也も夏美も笑ってる。そして私は…。
「ふう…ブランクあるけど、死ぬ気で跳ぶ。夏美の思いと一緒に跳ぶから」
『強気なゆーちゃん、本当に好き!』
「私も、夏美のこと好きだからね」
『うん。そんじゃ入部届け出しに走れ!』
電話はそこで切れた。スマホを智也に返す。涙を拭いてありがとう、と頭を下げた。
「こっちこそありがとう。夏美の親友に戻ってくれて」
「これから挽回するよ。夢も希望も、夏美の分まで」
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