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「……あれ? 俺、服着ずに寝たっけ?」
そして、その疑問が口を衝いて出た。
たしかに、普段寝る時はパンイチだが、今朝はミルトも居るからと、気を遣ってTシャツにハーフパンツで寝ていたはずなんだが。なぜか、今の俺はマッパだった。
自分の記憶違いかと首を捻るが、あれから優に六時間は経過しているにも関わらず、変わらずに聞こえてくる隣室からの声にハッと気づく。まさかと勘ぐっていると、ベッドの脇ではようやくミルトが起き上がってきた。俺は、痛そうに鼻を擦るミルトの心配をするよりも早く、自分の身に起こった不可解を尋ねた。
「お前、俺になんかした?」
不信感を前面に出した問いに、一度こちらに顔を向けたミルトは恥ずかしそうに顔を伏せ、またもや指を絡めてモジモジとする。
「ご……ごめんなサイ。しようとしましタ」
ミルトは言いながら顔を真っ赤に染める。一方、俺は返答を聞くなり、思わず自分のケツとチンコの状態を確かめてしまった。だが、そのどちらも使用したような形跡はなく、身体も変な疲労は残ってはいない。床にぺたりと座るミルトもきちんと下着は穿いているし、どうやら本当に何事もなかったようだ。しかし、可愛くて純情そうな顔をして夜這いとは……。宇宙人、なかなか恐ろしいな。
けど、妙だな。服を脱がされて、全く気づかなかったなんて。下を脱がされるだけなら分かるが、上まで脱がされたら普通は気づきそうなもんだがな。そんなに爆睡していたのかと疑問に感じながら、服を探しベッド周りに目を巡らす。だが、なぜか着ていたはずの服が見あたらない。布団を捲っても、床を覗いても見つからない。まるで服だけが神隠しにあったみたいに消えている。訳が分からず頭を掻いていると、
「あ……、ごめんなサイ。トーゴさんの服、消しちゃいましタ」
と、何を探しているのか気づいたミルトが、訳の分からんことを言ってきた。
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