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「お疲れさんでーす」
職場から出ると痛いほどに降り注いでくる陽射し。うーん。夜勤明けの身体に朝日が染みる。背伸びをしてみれば、バキバキと骨が鳴る。
「大崎、お疲れ」
「野間さん、お疲れさまです」
職場の先輩である野間さんと別れ、職場があるビルを背に歩き出す。気が抜けたのか、途端に大きなアクビが出てしまう。
「はぁ~。そろそろ昼間の仕事探そうかな」
夜勤の警備でそれなりに時給も良くて、それなりに楽もできたりする。だけど、こう昼夜逆転の生活が続くと早いうちに身体にガタが来てしまいそうで、三十を迎えたばかりの俺は、正直恐ろしくなってしまう時がある。若い頃から身体は鍛えてはいるけど、ほとんど趣味の領域だから、それが健康に繋がるかは疑問がある。パートナーと出逢い、一緒に暮らすようになれば互いに健康を気遣うこともできるだろうが、今のところ特定のパートナーはいない。このままいけば、高い確率で一人寂しい老後を迎えてしまうことになる……。
「……俺は、なに朝っぱらから辛気くさいことを考えてんだ」
爽やかな陽射しの下、暗い思考にまみれた頭を振り乱し、俺は空腹を訴える腹の欲を満たすためコンビニに向かった。
「……ん?」
ビル街を抜け、広い通りに出た瞬間、ほんの一瞬だが周囲が夜のような暗闇に包まれた……ような気がした。だけど、上空にあるのは太陽を遮る雲なんて一つもない清々しいほどの快晴の空。
たしかに暗くなったはずなんだが。歩きながら一瞬眠っちまったのかな?
「うん。早いとこメシ買って帰ろう」
健康に不安を抱いた矢先の異変。早く布団に入って休もうと、俺は足取りを早めていった。
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