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ムキになるミルトに、俺は日頃から鍛えている腹筋やら胸筋を見せつけ、さらに眼前に太い腕を突き出し力瘤を作ってやる。いっときは目の前の筋肉に惚けていたようだが、バカにされていると気づいたのか思い出したように頬を膨らませてきた。俺は笑いを堪えることもできず吹き出し、目の前で膨らんでいる頬を手で覆うように押さえて潰してやった。
何というか、ミルトは可愛かった。小学生の時、学校で飼育していた兎みたいな小動物感に溢れている。盛大に転けた姿も地べたに寝そべっている姿のようだったし、顔を伏せてモジモジする姿なんかはニンジンを食べている姿と重なる。そして、クリクリとした薄茶の瞳も、エサをねだって俺を見つめる兎のようだった。
俺はどちらかと言えばSっ気はない方だが、こいつに対しては違っていた。可愛がりたいんだけど、ちょっと苛めてもみたいという、ガキが好きな子に意地悪をしてしまうような初々しい感情が湧いて出てくるのだ。そして、全くタイプでもないのに、ミルトとならちょっとヤっても良いかもな、なんて思ってしまっていた。
で、そんなことで、ちょっとした意地悪をまた言ってしまう。
「まさか、オナニーも未経験とか言わねーよな」
冗談めいて言ったのだが、当のミルトはパンツの時みたいにキョトンとした顔で「オナニー?」と聞き返してきた。
「オナニー知らないのか? 自慰だよ、自慰。自分でチンコ扱くことだよ」
と、扱く手つきを添えて簡潔に説明してやると、またもや顔を真っ赤にして俯いてしまった。おいおい、オナニーもしたことがないとか、どんだけ純情なんだよ。十代なんて性欲の塊みたいなもんだろ。子作りに来といて、実は性欲がありませんなんてオチじゃないよな。
「オナニーすらしたことがないのに、ホントに子作りなんてできんのかぁ?」
なんて、意地悪く言ってみると、面白いようにへこんでいく。だが、その姿に俺の頭が妙案を浮かび上がらせた。
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