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「……っう。そう……そこだ。その場所の感触は……しっかり覚えてろよ。男を悦ばすための場所だからな。……じゃ、指をもう一本増やしてみろ。そして、その指でそこを押し広げるようにゆっくりと動かすんだ」
眼前の興味と興奮に支配されたのか、これまで従順なほどにかえって来ていた返事がなくなっていた。その代わり、熱に呑まれた呼吸が強く耳に届くようになっていた。そんな状態でも俺の声はきちんと聞こえているようで、指示に従いじんわりと指に力を入れ、俺の身体を受け入れるための形に変えていっている。
「よし……もう、良いだろ。指を抜いて、今度は自分のモン挿れてみろ」
「……ハ、ハイ」
久し振りに聞いた声は、とてつもなく上擦ったものだった。ミルトが抱いている興奮が見てとれる。しかし、緊張も最高潮に至っているのか、据え膳状態の俺を前に一応自分のモノに手を添えるもそこから微動だにしない。
「ミルト。怖がらなくても大丈夫だ。お前の思うようにやってみろ」
表情を強ばらせ、一点を見つめたまま動かないミルトを安心させようと、軽く頭を撫でる。ビクリと肩を跳ねらせたミルトはおずおずと視線をあげ、縋るように俺の名を呟いた。その不安に満ちた眼差しに、俺はもう一度「大丈夫だ」と、今までで一番穏やかな声をかけた。すると、僅かに力の戻った声で返事があり、深い呼吸を繰り返したミルトは静かに俺のナカに自身を沈めてきた。
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