お隣のトーゴさん

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「……お、おい。なんだよ、こいつら」  アパートまであと数メートルという所に来て、俺は目の前の光景に唖然と立ち尽くした。  そこまで広くない道路に溢れる男たちの集団。皆、お揃いの胸から腹にかけばっくりと開いた光沢のあるつなぎを着ていて、その数もあり奇妙な光景だ。男たちの容姿年齢は様々だが、これも揃いもそろってイイ男ばかりだ。なんとも眼福な光景に、つい好みの男を捜してしまいそうになる。が、そんな邪な意識を払い除け、俺は上空に目を向けてみた。 「これは……あれか。UFOとか言うヤツか?」  上空に滞空する円盤。それはかなり巨大な円盤で、周囲は広範囲にわたり影に覆われてしまっている。しかし、円盤の中央付近だけは、そこから地上へと延びる青白い光によって人工的な光が広がっている。そして、その中央の光の中から何人ものイイ男たちが降りてきている。それは、ガキの頃にテレビで観たUFO特番でやってた映像そのままの光景だった。  ……と言うことは、道路に溢れるこのイイ男たちは宇宙人ってことか。 「おおっ。なんかスゲーな」  その光景の非現実的な壮大さに、思わず歓声をあげてしまう。到底、信じられないことが目の前に広がっているのに、俺は意外に冷静だった。頭を覆う極度の眠気がこの光景を夢だと認識しているのか、本当に驚くほど違和感なく受け入れていた。いや、案外そこから現れているイイ男たちに心を奪われているせいかもしれない。 「それにしてもデカイUFOだなぁ。……ん、なんだ、アイツ?」  我が物顔で空を占拠する巨大な円盤から意識を地上におろし、そこを行くイイ男……宇宙人たちに目を向け直した時、また妙な姿が目に入った。
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