お隣のトーゴさん

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 一番近くのコンビニで消毒液やら絆創膏を買って戻ると、なぜかそこには少年宇宙人の姿しかなかった。 「あれ? さっきの紳士はどうしたんだ?」  UFOからの青い光が消えてすっかり影に包まれた道の片隅で、ぼんやりと体育座りの体勢で待っていた少年宇宙人。声をかけるなりパッと顔をあげ、安心したように顔を綻ばせた。 「あ、彼には行ってもらいましタ。彼にも、やるべきことがあるのデ」 「そっか。で、傷は痛むか?」  宇宙人が地球で“やるべきこと”に、一抹の不安はあるが、取り敢えず今は目の前の状況を片付けるために尋ねる。すると、少年宇宙人は小さく頷き「少しダケ」と答えた。 「じゃ、さっさと消毒するか。ちょっと、染みるぞ」  コンビニ袋を漁り、取り出した消毒液を手に構える。少年宇宙人は「染みるぞ」の言葉に過剰反応し、胸元を突き出しながらもプルプルと震え、グッと瞼を閉じていた。その姿に吹き出してしまいそうになるのを耐え、消毒液を持つ指に力を入れる。だが、寸前の所でそれを止めた。 「……消毒もだけど、一回水で洗った方が良いよな」  こいつは地べたに転んだんだ。消毒の前に汚れを洗い流した方が良いよな。消毒しても傷口になんか残ってたら、そこから変な菌が繁殖なんてことも考えられる。それこそ紳士が言っていたみたいに重症化してしまうかもしれないな。なにせ、こいつは宇宙人なんだから。何が起こるか分からん。  しかし、近くには公園もないし、外に水道があるような場所なんてないよな。 「仕方ないか」  なおも体育座りで消毒の恐怖に震えている少年宇宙人を立ち上がらせると、目と鼻の先にあるアパートへと連れ帰ることにした。
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